プロフィール
私は、前職が愛知県職員です。あいちトリエンナーレ2010の企画事務に関わったのがきっかけで、現代アートに出会い、のめり込みました。規制・管理とは真逆の発想が展開される現代アートが面白くて仕方なかったのです。まちなか会場の繊維街の長者町を担当し、眼前で、アートにより地域や人、ひいては自身までも変わっていく様を目撃しました。また、当時、あいちトリエンナーレの継続を真剣に考えている職員は、決して多くありませんでした。そうしたこともあり、芸術祭の研究を始め、文化政策研究者に転じたのです。
みなさんは、音楽・美術・演劇などいずれの芸術ジャンルが好きですか。なかには芸術文化にはそれほど関心がなく、政策そのものに関心がある方もおられるかもしれません。そもそもなぜ芸術・文化は社会に必要なのでしょうか。なぜ公的支援が必要なのでしょうか。
芸術文化は社会・地域にどのような影響を与えるのでしょうか。特に、最近では、芸術祭やアートプロジェクトなど、現代アートがまちなかに展開され、作品制作や運営に市民が関わることも多くなりました。関西ですと、「六甲ミーツ・アート芸術散歩」、「BIWAKO BIENNALE」、瀬戸内国際芸術祭などに馴染みがあるかもしれません。そうしたアートと地域づくりや市民参加にも関心を持っています。
文化政策研究は、2000年代に入ってようやく体系化・理論家が進められた若い学問です。コロナ禍で芸術文化のあり方自体が根本的に問い直されようとしています。国内では決してメジャーではない文化政策研究の発展に微力ながら寄与したいと考えています。
経歴
大阪公立(市立)大学大学院都市経営(創造都市)研究科准教授。日本文化政策学会理事、文化経済学会〈日本〉理事。東京藝術大学大学院音楽研究科博士後期課程音楽文化学専攻芸術環境創造分野修了。京都大学法学部卒、京都大学公共政策大学院修了。博士(学術)、公共政策修士(専門職)。1965年神戸市生まれ。愛知県庁在職時にあいちトリエンナーレ2010を担当。
研究テーマは、文化政策・アートプロジェクト論。
著書に『トリエンナーレはなにをめざすのか 都市型芸術祭の意義と展望』(水曜社、2015年)、『文化条例政策とスポーツ条例政策』(吉田勝光との共著、成文堂、2017年)、『芸術祭と地域づくり “祭り”の受容から自発・協働による固有資源化へ』(水曜社、2019年)、『芸術祭の危機管理-表現の自由を守るマネジメント』(水曜社,2020年)等。